2015年09月17日

「和歌山コウちゃん」飛来3周年

コウノトリ(J0057)、「和歌山コウちゃん(♂)」が和歌山市に飛来して今日で3周年になりました。
4年目に入った今朝も元気よく塒を飛び出し、3年前も降りた休耕田にやってきました。
「和歌山コウちゃん」飛来3周年

私は飛来3日目から撮影を始めましたが、こんなに長く1羽の鳥を撮り続けるとは思いもしませんでした。
今日はこれまで撮りためた中から彼の成長ぶりが分かるような写真を選んでご紹介します。
ただこれまで撮りためた写真があまりに多く、毎日の写真というわけにはいきません。
そこで3か月に2枚の割合でご紹介します。
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「和歌山コウちゃん」飛来3周年
2012年5月24日に京丹後市で生まれ、同年7月28日に巣立ちのあと同9月17日に和歌山市粟の休耕田に飛来しました。
これは飛来3日後の9月20日にJ0057を撮った最初の1枚です。
この休耕田はその後埋め立てられて宅地になりました。

「和歌山コウちゃん」飛来3周年
これも9月20日の写真です。まだ顔が幼く、身体つきもひ弱な感じを受けます。
この細い身体でよく150㎞もの距離を飛んできたものです。
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「和歌山コウちゃん」飛来3周年
2012年9月22日から居場所が和歌山市粟から船所に移りました。
近くの用水路に餌となる魚が豊富にいました。
なぜか当初よりあまり人を怖がらず、交通量の多い道路脇の休耕田や用水路で魚を捕っていました。
このあと10月21日から1週間、紀伊半島南端の串本まで飛んで行きましたが、
10月29日に和歌山市船所に戻ってきました。
そんなこともあって「年末までいるだろうか」と皆さん思っていましたが、とうとう12月に入りました。
これは12月8日、近くの休耕田での一枚です。

「和歌山コウちゃん」飛来3周年
これは12月10日に近くの民家の屋根の上にいるところです。
このころはまだ決まった塒というものはなく、周辺の住宅街の電柱を渡り歩いて(飛んで)いました。
私の住宅横の電柱に居たこともあり、つくづく「大きくてきれいな鳥だなあ」と感心していました。
ご近所の皆さんもひと目見て虜になっていきました。
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「和歌山コウちゃん」飛来3周年
これは年が明け春になり、3月3日の休耕田です。

「和歌山コウちゃん」飛来3周年
これも翌4日に鳴滝川堤防で撮ったものです。
最初に餌を見つけた用水路もそうですが、この鳴滝川も元は紀ノ川から流れ込んでくる支流です。
3年が経った現在では餌の捕れる干潮を見極めて紀ノ川本流に出かけていきますが、
当初は本流へ行っても右往左往するだけでなかなか捕れませんでした。
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「和歌山コウちゃん」飛来3周年
2013年6月12日に撮ったこの写真の身体はかなり汚れているように見えます。
餌場も様々で、濁ったところでは白いきれいな身体が真っ黒になることがあります。
しかしこの時は細く見える大きな理由がありました。

「和歌山コウちゃん」飛来3周年
翌6月13日こ撮ったこの写真では、生後1年を超えたくましさも見えてきていますがどことなく疲れきった顔つきです。
実はこの2か月前から6月8日まで和歌山市を離れ、滋賀、福井、富山まで遠出をして帰ってきたばかりだったのです。
この時も「もう和歌山市にはもどってこないだろう」と、だれもが思っていました。
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「和歌山コウちゃん」飛来3周年
和歌山市飛来1周年の2013年9月17日の1枚です。
船所の休耕田です。
この頃になると「和歌山コウちゃん」の存在は地元の楠見地区の人たちにはよく知られるようになってきましたが、和歌山市全域になるとまだまだ「未知の鳥」でした。

「和歌山コウちゃん」飛来3周年
これは9月21日、紀ノ川支流の鳴滝川での1枚です。
塒は夏季の「楠見地区の西の鉄塔」と冬季の「園部の東の鉄塔」に分かれています。
これは季節によって主な餌場が鳴滝川をはさんで変化するためだと考えられます。
この鳴滝川の堤防を「歩く姿」もすっかりお馴染みになっています。
ある時などは川から川べりに飛びあがったかと思うと、飛ばずに堤防の斜面を歩いて登ってきたことがありました。
観察していた一同、「飛べば早いのに!」
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「和歌山コウちゃん」飛来3周年
2度目の和歌山の冬を迎えました。
2013年12月17日、冬場の主な餌場「用水路」での1枚です。
この年の夏も頻繁に遠出を繰り返していました。
8月15日には和歌山市を離れ、1週間後の23日になってメス(J0050)を伴なって戻りました。
このメスはその後、4度も和歌山市に飛来しましたが、その都度J0057に追い払われました。
そして5度目には2羽揃って生まれ故郷の京丹後市へ飛んでいきました。
この時ばかりは「やはり彼女の力には負けたな」と私たちも諦めました。
ところが11月に入って出石で目撃されたあと10日に和歌山市船所に1羽だけで戻ってきました。
生まれ故郷の「厳しい寒さ」に耐えられなかったのでしょうか。

「和歌山コウちゃん」飛来3周年
これは12月20日に近くの休耕田で撮った1枚です。
私たちの観察生活も「平常」に戻ったのはいいのですが、今度は「いつまで独身?」が心配の種に。
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「和歌山コウちゃん」飛来3周年
和歌山市で2度目の春を迎えました。
2014年3月17日、お気に入りの用水路で採餌です。
このころになると地域にいるほかの鳥たちの生活もわかってきました。
一緒に写っているいるアオサギは常に用水路前の住宅の屋根にいる「仲良し」です。
地域の「先住民」としてはアオサギのほかに、コサギ、チュウサギ、カラス、トビ、ムクドリ、スズメなど多彩です。
特にカラスとは縄張りが重なっているためか、季節によっては熾烈なバトルを繰り返します。

「和歌山コウちゃん」飛来3周年
3月19日、同じ用水路です。
この時分の水量は深くて餌を捕りにくそうですが、護岸近くの水中に肩まで突っ込んでは器用に捕まえてきます。
ここは周囲の道から見下ろせるので撮影は最も簡単な場所ですが、採餌の時間帯は交通量が大変多く、道路に飛びあがったコウノトリとのニアミスにいつもハラハラさせられています。
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「和歌山コウちゃん」飛来3周年
2014年6月17日、近くの水田で撮りました。
満2歳を過ぎ、顔つきも一段とたくましくなりました。

「和歌山コウちゃん」飛来3周年
同じ6月17日、苗が伸び始めた水田を飛び立つ姿です。
1年を通じてどの季節もコウノトリの美しさを感じることができますが、夏場の青々とした水田に映える純白の姿がいいという声が多く聞かれます。
そして飛ぶ姿の美しさには何度観ても感動させられます。
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「和歌山コウちゃん」飛来3周年
とうとう和歌山市飛来2周年を迎えました。
2014年9月17日、近くの休耕田で撮った1枚です。
支流鳴滝川をはさんで二つの高圧鉄塔「西の鉄塔(20m)」「東の鉄塔(30m)」を季節によって使い分けて、塒にしています。
たぶんどちらの鉄塔からも広い楠見地区や園部地区、そして紀ノ川をはさんだ旧市街地域も見渡せるのではないでしょうか。
また北を見ると府県境の和泉山脈が「砦」のように連なっており、北から飛んでくるライバルたちにもすぐに立ち向かえます。
全く絶好の位置に塒を構えたものです。

「和歌山コウちゃん」飛来3周年
同じ休耕田で朝陽に輝く一枚です。
コウノトリはいつ見てもきれいですが、特に昇ったばかりの朝日に照らされている姿は格別です。
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「和歌山コウちゃん」飛来3周年
2014年12月18日、冬場の主な餌場、用水路での一枚です。
和歌山市に飛来してきて三度目の用水路なので、餌の捕り方も上手くなりました。
「手あたり次第漁法」は変わりませんが、護岸脇の深みに大物がいることも熟知し、長い嘴どころか頭まで水中に突っ込み大物を捕らえることも多くなりました。
そんな獲物は飲み込むのも一苦労です。
やっと飲み込んだ時には周囲で観察している人たちから安堵の声が起こります。
「和歌山コウちゃん」飛来3周年
12月19日楠見地区の上空を旋回するJ0057です。
いつもはそんなに高く飛びませんが、天候がいい時などには上昇気流に乗って高く旋回していくことがあります。
私が一番感動する姿ですが、時によってグングン高度を上げてそのまま西の空に消えていくことがあります。
感動が淋しさに変わる瞬間ですが、豊岡方面に飛ぶ時でも一旦は西の紀淡海峡を目指すようです。
海岸線に沿って移動していくのでしょうか。
これまでの観察から、和歌山市へのコウノトリの飛来コースが複数あることが解ってきました。
大阪湾岸沿いに南下し和泉山脈を越えてくるコースと、奈良や三重から紀ノ川沿いに入ってくるコースがあるようです。
そして時々、紀淡海峡を越えて四国との行き来も確認されています。
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「和歌山コウちゃん」飛来3周年
今年(2015年)の春、3月17日の一枚です。
近くの電柱に留まっていますが片足は電線の上です。
小さなスズメやムクドリたちが電線の上に留まっているのは不思議ではありませんが、
こんなに大きな鳥が狭くて細いところに留まっているのにはビックリさせられます。
つくづく敏感で器用な足だと思います。

「和歌山コウちゃん」飛来3周年
翌日3月18日、園部の山あいで撮った一枚です。
まるで「巣」のようですが、枯れ枝が重なってボールのようになっています。
この周辺にはこんな場所が何か所かあり、観察仲間からも「ここに巣を作ったら?」との声もよく聞かれました。
飛来3周年を迎え、目下の関心は「営巣場所」です。
現在塒にしている高圧鉄塔は不可能ですし、活動地域は住宅密集地のため地域の電柱も不可能でしょう。
どこへ「人工巣塔」を作れば気に入ってもらえるのでしょうか?
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「和歌山コウちゃん」飛来3周年
今年の夏、6月17日に撮った近くの水田でのアップです。
この3年でもちろん身体つきも大きくなりましたが最も変わったのは「顔つき」です。
すっかり「逞しい青年」の顔つきです。
放鳥されているコウノトリの中で、こんなに間近で「目を合わせる」ことができるのは、この「和歌山コウちゃん」J0057だけだと聞いています。
それだけに彼に信頼されている私たちの責任は重大だと思います。

「和歌山コウちゃん」飛来3周年
同じ日、水田から飛び立つ姿です。
大きな翼を一度羽ばたかせるとフワッと浮き上がります。
何度見ても見飽きることがない「雄姿」です。
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ここまでが今年6月までの写真ですが、改めて「四季のJ0057」を選んでみました。
まず「春」です。今では少なくなった蓮華畑での一枚です。
「和歌山コウちゃん」飛来3周年
次に「夏」です。すっかり地域の仲間となったアオサギとのツーショットです。
「和歌山コウちゃん」飛来3周年
続いて「秋」です。よく行く餌場です。彼岸花が咲いています。
「和歌山コウちゃん」飛来3周年
最後は「冬」です。2014年2月14日、バレンタインデーの朝、和歌山市は真っ白な雪で覆われていました。
私たちもあまり経験のない大雪で大慌てでしたが、雪国生まれでもすっかり「南国紀州」の気候に慣れていた「和歌山コウちゃん」も驚いたのではないでしょうか。
(私は現場に行けませんでしたので観察仲間の福田さんにお借りしました)
「和歌山コウちゃん」飛来3周年

【附則】〇「和歌山コウちゃん」飛来3周年
2014年8月10日、和歌山市に6羽のコウノトリが飛来しました。
カメラを持つ手が震えるほどの興奮を覚えました。
この時「和歌山コウちゃん」は自分の塒周辺で微動だにしませんでした。
そのほかにも数羽のコウノトリが和歌山市や海南市、紀の川市などに飛来してきています。
それだけ和歌山市を含む紀伊半島全域はコウノトリにとって重要な地域だと言えるのではないでしょうか。
こんな光景が今後もまた見られることを期待します。
「和歌山コウちゃん」飛来3周年






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Posted by wakayamastork2 at 11:32 │和歌山コウノトリ